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公立教員に労働基準法の驚き

こんな記事を見かけました。

教諭の残業、香川県に賠償命令

記事を引用すると、「労働基準法に反する時間外労働(残業)をさせられたとして、元高松市立中教諭の男性(67)が香川県に損害賠償を求めた訴訟」とのこと。

そして「大阪大の高橋哲准教授は「公立校教員の残業について労基法違反での賠償責任を認めた判決は初めて」としている。」だそうです。

たしかに、公立高校の教員にはいわゆる給特法という特別な法律が適用されますので、「労働基準法」に基づいて判決が出るというのはちょっと驚きです。

どういう論理構成にしたのかは判決を読まないと分かりません。

しかし、給特法自体も改正案が衆議院を通過しているので、今後もこの方向性は変わらないでしょう。

給特法とはどんな法律?

ところでその給特法ですが、実際に条文を見たことがある人はあまりいないと思います。

なかなか個性的な法律でして、なんと条文数はわずかに7条しかありません。

目的条文や言葉の定義、他の法律との読み替えルールなどの形式面を定めた条文を除くと、本質的にはただ一つの条文が残るのみです。

それは第3条。特にその1項と2項が肝心です。次のような条文です。

(教育職員の教職調整額の支給等)
第三条 教育職員(校長、副校長及び教頭を除く。以下この条において同じ。)には、その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない。
2 教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。

第2項、すごいですね。「時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。」

こんな豪快な宣言あるんだなというインパクト。

一般企業の就業規則にこんなこと書いたら、炎上必至ですよ(笑)

要するに4%の上乗せを払うから残業代とか無しね、ってことです。

これが「定額働かせ放題だ」と批判されて、今の国会で上乗せ額を10%にする方向で法案審議が進んでいます。

まあ10%になったからとて、本質的には何も変わらないのですが、方向性として学校教員の負担軽減に全体の論調が向いているのは間違いありません。

公務員と労基法

なお学校教員に限らず、公務員というのは労基法の適用を受けません。

国家公務員法や地方公務員法が労基法に代わる役割を果たします。

国家公務員法の附則6条にはこうあります。

労働組合法、労働関係調整法、労働基準法、船員法、最低賃金法、じん肺法、労働安全衛生法及び船員災害防止活動の促進に関する法律並びにこれらの法律に基づく命令は、職員には適用しない


はっきりと労基法の適用がないことが謳われていますね。

地方公務員法第58条にも、「他の法律の適用除外等」として労基法の除外が定められています。(条文は大変長くて読みづらいので割愛)

国家公務員法や地方公務員法には労基法の考え方が一定程度反映されているので、その保護は受けますから、無権利というわけではありません。

公務員という地位の特殊性ゆえに、ダイレクトに労基法その他の民間労働者向け法律を適用すると齟齬が大きいので、必要な調整を加えて処遇しようということなのでしょう。

こういう建付けの中で、冒頭の判決では労基法を適用して判決が出たわけですから、その意外性がお分かりいただけるでしょう。

私も小2の息子を持つ身。学校の先生たちの労働環境があまりに過酷だと、間違いなく子どもに悪影響が及びますから、いい方向に向かってもらいたいと思いますね。

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