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脱毛サロン大手のミュゼプラチナムの運営会社が破産開始決定を受けたとのこと。
「ミュゼプラチナム」運営会社が破産手続き開始 元従業員「給料払え」
上記記事曰く、
「資産状況について、元社長の高橋英樹氏は…。「残っていません。実際はもう(運営会社に)資産はありません」 元従業員らに、未払い分の給与を支払うことができないという高橋氏。政府が事業主に代わって立て替えを行う「未払賃金立替払制度」を利用してほしいと説明しています。」
だそうです。
さてこの記事中に出てくる「未払賃金立替払制度」とはどのようなものでしょうか。
厚労省のHPに概要が載っています。
また独立行政法人労働者健康安全機構のHPにも詳しい情報があります。
◆ 全額払ってもらえるの!?
本気で活用を考えている方は、これらの情報に当たっていただくとして、かいつまんでどんな制度なのかご紹介しましょう。
名前の通り「未払い賃金」を会社に代わって払ってくれる制度なのですが、当然の疑問として「全額払ってもらえるの」と思いますよね。残念ながら払ってもらえるのは未払い賃金総額の8割です。
しかも「未払い賃金総額」には年齢による上限が定められていて、例えば30歳以上45歳未満の人だと220万円が上限です。ですから未払い賃金が300万円あったとしても、認めてもらえるのは220万円まで。そして220万円補償してもらえるわけではなく、この220万円の8割を貰えるのみ。つまりこの年齢層の人が補償してもらえるのは220万円×0.8=176万円がマックス。
ないよりはずっとマシですが、とはいえやはり労働者としては「タダ働き」を受忍せざるをえないので悔しいところですね。
さらにボーナスが支払われていないとしても、この場合の「未払い賃金総額」には入りません。ボーナスが払われて当然と思って、それを計算に入れて働いていた人にとっては、かなり計算が狂う展開です。
この制度は「企業倒産により」賃金が支払われないまま退職した労働者に対して立て替え払いをする制度です。したがいまして、「未払い賃金がある」から直ちにこの制度が利用できるわけではありません。会社が倒産していなければいけない。機構のHPに分かりやすい図があるので引用しましょう。

御覧のように会社が倒産(破産手続き開始等の申し立て、あるいは事実上の倒産と労基署長が認定)していないといけないわけです。だから未払いに腹を立てて、「タダ働きなんてできるか!」と退職したものの、その後6か月以内に会社が倒産しない場合は、この制度が利用できないということです。6か月と1週間後に倒産でもダメです。キビシー!
◆ 面倒でも自分で請求
あとこれは労働者自身が請求しなければいけません。待ってるだけではもらえません。「自分への賃金が未払いなのは会社の書類から明らかなんだから、言われなくたってやってくれるだろう」とか思ってはいけません。請求期間内にしっかり請求しないといけない。
会社が倒産して賃金も未払いで、次の職探しや目先の生活費の問題などなど混乱している中で、こういうやったことのない手続きにまで気を払わなければならないというのはなかなかの負担です。
私も昔辞めた出版社が、私が辞めた後に賃金未払いを引き起こして、倒産していたという経験があります。私自身は賃金未払いにはなりませんでしたが、未払いに腹を立てたシステム部員が社内イントラにロックをかけたまま退職し、情報のサルベージに苦労したというのを報道で知りました。私がいた部署とシステム部は、机が隣り合うような環境だったので、「あの人たち(2~3人)の誰かが・・・」と不思議な気持ちになりました。
ともあれ、制度としては上記のようにいくらか制限付きではありますが、何の補填もないよりはずっといいはずですから、各所に相談しながら活用していただきたいものです。
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